橋本太次兵衛家住宅(新座敷・旧米穀集荷事務所・土塀)

名称：橋本太次兵衛家住宅 (新座敷・旧米穀集荷事務所・土塀)
(はしもとたじべえけじゅうたくしんざしき・きゅうべいこくしゅうかじむしょ・どべい)

指定区別：国登録有形文化財

文化財種別：建造物

登録年月日：令和2年4月3日

所在地等：湯川町小松原

概要

　橋本太次兵衛家住宅は、旧熊野街道沿いに位置し、近世より肥料商と砂糖問屋を営んだ家である。近代になって多くの田畑を取得し、当地方屈指の大地主となった。屋敷は南北に通じる街道を挟み、西側が主な屋敷で近年建て替えられた主屋のほか、北側中央に新座敷が建つ。街道東側の屋敷は当家の米穀集荷事務所として使われた敷地である。

　新座敷は、むくり屋根の玄関を突き出した建ちの高い独特の外観で、木目の詰まった良材を用いており、内部は端正な意匠の座敷を備えた上質な近代和風建築である。

　旧米穀集荷事務所は、外観を下見板張りペンキ塗りとし、上げ下げ窓を用いた洋風建築である。戦後は湯川郵便局の局舎として使われた歴史もあって、地域社会のシンボル的な存在である。

　土塀は、旧米穀集荷事務所の北側にあって屋敷と街路を画す塀で、北側は水路に接する。短い距離の土塀であるが、丁寧な基礎石積みのうえに、洗い出し仕上げの壁面に瓦を葺いた上質なものである。

　これらの建築群は、近代における当地方屈指の大地主によるもので、地主経営と接客空間の一端を伝える貴重な地域の文化財である。また、熊野街道沿いにあって、当地の歴史的景観の形成に寄与している。