堅田遺跡出土ヤリガンナ鋳型 附弥生土器
名称:堅田遺跡出土ヤリガンナ鋳型 附弥生土器(かただいせきしゅつどやりがんないがた つけたりやよいどき)
指定区別:県指定有形文化財
文化財種別:美術工芸品(考古資料)
指定年月日:平成23年3月15日
所在地等:塩屋町南塩屋(御坊市歴史民俗資料館)
弥生土器
ヤリガンナ鋳型
概要
堅田遺跡は、御坊市湯川町財部に所在する三重の環濠を持つ弥生前期の環濠集落である。竪穴住居17棟のうち4棟が松菊里型住居であること、伊勢地方の壷や条痕文を施した三河西部の壷・甕、結晶片岩を含む紀北や角閃石を含む生駒西麓部の壷・甕、和泉産の特徴を示す多条の沈線に幅広の沈線を組み合わせた無頸壷などの搬入土器が多く認められること、地元で作られた土器にも中部瀬戸内(播磨・備前・伊予)、あるいは安芸、西部瀬戸内(豊前・長門)の属性をもつ土器が見られることから、広範囲の交流があったことが窺える。
ヤリガンナ鋳型は、砂岩製で縦6.5センチメートル、横6.0センチメートル、厚さ6.1センチメートルの破片である。残存する鋳型面は縦の長さ約4.0センチメートル、横幅約2.5センチメートルである。中央には、幅0.25センチメートル、深さ0.2センチメートル、断面V字を呈した溝が一条まっすぐ縦方向に彫り込まれている。その左右は端部近くでわずかに内湾気味となるが、両端部とも破損していて形状は不明である。彫り面が熱により黒変していることから、実際に使用されたと考えられる。残存部から、幅3センチメートル、長さ20センチメートル程度のヤリガンナが復元できる。なお、同時代出土のヤリガンナ鋳型と比較しても、幅・厚さが大きいことから、別の鋳型を再利用した転用材の可能生が高い。
この鋳型は、環濠集落の北西部、3条の環濠の内濠(環濠1)から、弥生時代前期新段階後半頃の特徴を示す弥生土器と共に出土した。このことから、ヤリガンナ鋳型は弥生時代前期新段階後半に属するものであると考えられる。
堅田遺跡では、鋳型のほかに溶炉遺構や炉壁とみられる焼土塊、羽口と思われる破片等の出土が見られ、青銅器生産が行われていた可能性が高い。青銅器生産は、これまでに九州で弥生時代中期以降の例しか確認されておらず、堅田遺跡で青銅器生産が行われていたとすれば国内最古の例となる。
堅田遺跡出土ヤリガンナ鋳型は、日本の青銅器生産を考える上で貴重である。
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更新日:2023年06月15日